【アメリカの企業形態】自身の起業にとってベストな企業形態を知ろう①【個人事業編】

 

アメリカで起業を考えている方へ。

 

起業といってもさまざまな形態があることをご存じでしょうか。

 

起業するためには、まずどんな企業形態があり、自分にとってベストな形態は何かというのを把握することが大切です。

 

起業する際には、そしてビジネスを継続していくためには、さまざまなコストやリスクがあります。

自分の考えるビジネスにとって相応しい企業形態を選択できないと、不要なコストを支払うことになったり、最悪の場合、自己破産になってしまう可能性もあります。

 

企業形態についてしっかり知っておくことはとても大切なことです。

 

今回は、アメリカでの起業を考えるうえで、知っておくべき企業形態について解説します。

 

 

基本的に5つの形態が存在します。

 

アメリカにおける企業形態は、大まかに5つ存在します。

・Sole Proprietorship

・Partnership

・Corporation (C Corporation)

・S Corporation

・Limited Liability Company (LLC)

 

この5つのうち、大まかに分けると2つに分類できます。

 

1つが法人格を持たない個人事業にあたるSole ProprietorshipPartnershipです。

もう1つが法人格をもつCorporationS CorporationLLCです。

 

今回は、これら5つの企業形態のうち、個人事業にあたるSole ProprietorshipPartnershipについて説明します。

 

次回、法人格を有するCorporation、S Corporation、LLCについて説明します。

 

 

Sole Proprietorshipについて。

 

Soleは”ソロ”、”一人”という意味です。

Proprietorshipは個人事業という意味です。

 

つまり直訳すると、一人で行う個人事業、それがSole Proprietorshipです。

 

 

メリット 会社設立や維持のための手間・コストが低い。

1つ目のメリットは、会社設立の手間やコストが、すべても企業形態の中で最も低いという点です。

 

法人格を持たない企業形態であり、州への登記は不要です。

他の企業形態は、すべて州への登記が必要になってきますが、唯一、Sole Proprietorshipは州への登記が不要な形態です。

 

州への登記には費用も発生します。

金額は州によってまちまちですが、ノースカロライナでLLCを設立するのであれば125ドルの支払いが必要です。

また登記の翌年からは、会社維持に年間で200ドルの支払いも必要になってきます。

 

 

もちろん商売を行う上でビジネスライセンスの取得はSole Proprietorshipにおいても必要になってきます。

 

しかし、手間やコストを考えると、他の形態に比べて圧倒的に手軽にスタートできる企業形態です。

 

 

メリット 利益は全て経営者のもの。

利益はすべて経営者の収入となります。

 

一人で経営する個人事業だからこそ得られるメリットです。

 

複数人で経営する個人事業だったり、法人化された組織であれば、利益=経営者の収入とはなりません。

ビジネスで儲けた分だけ、自分が儲かるという単純な仕組みは、とてもわかりやすくモチベーションもあがるでしょう。

 

 

メリット 経営者の決定=ビジネスの決定 マネジメントをしやすい。

自身の決定が直接ビジネスの決定とできるので、マネジメントをしやすいというメリットもあります。

 

一人で経営しており、他の雇用者や株主等がいるわけではないため、自分の好きなように意思決定をしてビジネスをすることができます。

 

小さい組織の競争力は、その身軽さにこそあります。

素早い意思決定と、素早いアクションによって、小さな組織が大きな組織に勝つことだってできます。

 

そういった意味で、決定を即座にビジネスに反映できるというのは、大きなメリットとなります。

 

 

デメリット 無限責任です。会社の破産=自己破産を意味します。

無限責任ということは、ビジネスにおいて発生した損失や負債、賠償など、すべて経営者が負担をしなければならないということです。

 

ビジネスを展開していくなかで、負債を背負うこともあれば、ビジネスがうまく立ち行かず損失を出すこともあります。

 

ビジネスの規模が大きくなればなるほど、負債も損失も、大きな金額になる可能性がでてきます。

また意図せずとも他人や他社に被害を与えてしまった場合は、裁判となり賠償を請求されてしまう可能性もあります。

 

赤字が膨らみ、倒産となった場合、赤字の責任を経営者個人が負わなければならないのが”無限責任”です。

 

ビジネスで1億円の赤字を出し倒産した場合、無限責任であれば経営者個人が1億円を支払わなくてはなります。

倒産してしまったときのことを考えると、本当にリスクが高いのが無限責任です。

 

一方、倒産した場合も、経営者個人は自分の出資分を損するだけで、それ以上の責任を取る必要がない形態を”有限責任”といいます。

 

ある程度のビジネスを展開するのであれば、有限責任とすることは必須です。

 

Sole Proprietorshipの最大のデメリットは、無限責任というリスクの大きさです。

 

 

デメリット Self-employment tax(社会保障税)を全額負担。

アメリカで働く人は全員、社会保障税を支払っています。

ここでいう社会保障税とは、Social Security TaxとMedicare Taxです。

 

Social Security Taxの税率は12.4%、Medicare taxの税率は2.9%で、社会保障税の合計の税率は15.3%です。

 

法人の場合、法人と雇用者でそれぞれ半分ずつ支払うのですが、個人事業主の場合は丸々全て払わなければならないというデメリットがあります。

 

Partnershipについて。

 

続いて、Partnershipについて説明します。

 

Partnershipは、さきほど説明したSole Proprietorshipと同じく、法人格を有さない企業形態です。

 

簡単に言ってしまえば、Sole Proprietorshipのオーナーが複数人いる場合がPartnershipです。

Sole Proprietorshipは一人の個人事業といいましたが、Parnershipは二人以上で行う個人事業です。

 

メリットやデメリットは、基本的にSole Proprietorshipと同じですが、異なる点といえば下記です。

・複数人でビジネスを行うため、利益をシェアしなければなりません。

・その一方で、リスクもシェアすることができます。

・複数人の経営者がいるため、Sole Proprietorshipに比べて意思決定が遅れがち。

・経営者同士での仲違いが発生してしまう可能性もあり。

 

Partnershipにおいて最も重要なことは、あらかじめパートナー間ではっきりと役割を分けておくことです。

誰が何をするのかというのを明確にしておき、責任の所在がはっきりとするようにしておく必要があります。

 

 

実はPartnershipの中でも、3種類に分類することができるので、それぞれについて説明したいと思います。

 

 

General Partnership

一つ目のパートナーシップがGeneral Partnershipです。

 

このパートナーシップは、家族や友人、同僚など、複数人で構成され、すべての構成員が無限責任を負います。

 

州への登記は不要で、上述したとおりの、Sole Partnershipの複数オーナー版といえる形態です。

 

Limited Partnership (LP)

二つ目のパートナーシップがLimited Partnership、通称LPです。

 

このパートナーシップは、最低一人は無限責任の構成員(General Partner)が必要で、その他に有限責任の構成員(Limited Partner)で構成することができます。

 

もともとはGeneral Partnershipしかありませんでしたが、全員が無限責任を負わなければならないという点で反発があり、その結果作られたのがLPです。

 

全員が無限責任を負う必要はないという点で、General Partnershipと比べて圧倒的に人を雇いやすくなっています。

 

ただしLPの場合、州に定款を提出する必要があり、設立に少し手間がかかるというデメリットもあります。

 

 

Limited Liability Partnership (LLP)

三つ目のパートナーシップがLimited Liability Partnership、通称LLPです。

 

LLPは、構成員全員が有限責任と扱われるのがLLPです。

この場合の有限責任とは、構成員の誰かが不法行為をおこなった場合、他の構成員はその責任は負う必要がないという内容です。

 

そのため、弁護士事務所や会計士事務所など、専門分野の事務所を運営するために、しばしばこの企業形態が使われます。

 

Limited Partnershipと同じく、こちらも州に定款の提出が必要です。

 

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まとめ

 

基本的に個人事業の場合、Sole ProprietorshipもPartnershipも、経営者は無限責任を負う変わりにビジネスで得た利益を自分の収益とすることができるメリットがあります。(LPやLLPは少し異なりますが。)

 

無限責任というデメリットは非常に大きいですが、ビジネスを大きくするつもりはない人にとっては個人事業の方が向いています

 

ただ単に、個人で何か作ったものを販売したい、何かサービスをして稼ぎたいという人にとっては、Sole Proprietorshipが向いています。

もし複数人ではじめるのであればPartnershipです。

 

法人を設立する必要がないので、手間もコストもかかりません。

 

ただし、ビジネスをある程度大きくしていきたいという思いがあるのであれば、個人事業は相応しくありません。

次回解説する法人格を有する形態を採用すべきです。

 

ビジネスの規模が小さくても、あらゆるリスクを想定しましょう。

ビジネスの分野によっては、いくら規模が小さくとも個人事業で行うのはリスクが大きいケースがあります。

例えば、個人事業として飲食関連のビジネスをし、それを口にした大勢の人に悪影響が及んでしまった場合、請求される賠償金は計りしれません。

会社は倒産、到底個人で払える金額ではなく経営者自身も自己破産となりかねません。

 

人に大きな迷惑をかけるようなリスクはなく、こじんまりとビジネスを行っていきたい人は、ぜひ個人事業であるSole ProprietorshipやPartnershipを採用し、手軽にビジネスを開始しましょう。

 

法人格を有する企業の設立(C Corporation、S Corporation、LLC)については以下記事をご覧ください。

【アメリカの企業形態】自身の起業にとってベストな企業形態を知ろう②【法人編】

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