【アメリカでの出産について 後編】出産時の対応・出産後の手続きを説明します。

 

アメリカに住む多くの夫婦が直面する問題が、出産準備であったり、出産時の対応、そして出産後の手続き(出生届の提出方法やSSN申請など)がわからないということです。

 

異国の地であるアメリカでの出産は、とても不安です。

出産自体が不安なうえに、言葉の通じない異国の地で出産となると、問題なく出産できるか、何か問題が発生したときに対処できるか、考え事が多すぎるのは事実です。

 

不安だからこそ、アメリカ生活中は妊娠しないようにする夫婦もいると思います。

 

しかし、不安や困難は確かにありますが、それらを乗り越えれば、アメリカでの出産というのは、夫婦にとっても赤ちゃんにとっても、とても大きな財産になります。

 

 

結論をいうと、しっかり情報を集め、準備をし、注意点をおさえておけば、何も不安なことはありません。

 

 

これからアメリカで出産をするうえで、必要な手続きや準備について紹介したいと思います。

 

前回、前編として出産前までに準備すべきこと、注意点について紹介しました。

【アメリカでの出産について 前編】出産前に準備すべきこと・注意点について。

 

 

 

今回は後編です。

 

出産時(陣痛~退院まで)の対応と、出産後の必要な手続きについて紹介します。

 

なお、紹介する情報は、2020年10月時点で、ノースカロライナ州で実際に出産を経験した女性複数人の意見をもとにまとめています。

 

 

陣痛から退院までの対応について。

 

陣痛がこれば、いよいよ出産です。

 

焦ってはいけませんが、余裕をかましてる時間もありません。

 

事前にすべき行動をシミュレートしておき、当日は冷静に素早く行動しましょう。

 

 

陣痛かも、と思ったらすぐに病院に電話しましょう。

 

陣痛がきたと思ったら、すぐに病院に電話しましょう。

 

しかし、多くの人はどれが陣痛かわからないでしょう。

 

陣痛が来る前に、前駆陣痛を経験する人もいます。

 

前駆陣痛を経験すると、本陣痛が来た時も、これも前駆陣痛では?と思ってしまいます。

 

しかし、少しでも異変を感じたら、すぐに病院へ電話しましょう。

 

 

病院に電話すると、現在の状態についていろいろと質問されます。

 

いつから陣痛がはじまったか、何分間隔で痛くなるか、などなど。

 

電話対応の人は、もしかしたら陣痛の波が10分間隔になるまで家で待機するように、指示するかもしれません。

 

しかし、そんな悠長なことをしていると、取り返しがつかないことになるかもしれません。

 

家で待機するように言われたとしても、病院に向かいましょう。

 

さもないと、無痛分娩を希望している人も、陣痛の痛みをもろに味わうことになるでしょう。

 

あるいは、麻酔が間に合わず、無痛分娩ができなくなり、急遽、普通分娩に切り替えなくてはならなくなるケースもあります。

 

病院に早く着き過ぎても大丈夫です。

入室させてくれなければ、待合室で待てばよいだけです。

 

家でゆっくり待つことだけはやめましょう。

 

 

病院に入ってからは、先生とナースの指示通りに動きましょう。それ以外は何もできません。

 

旦那さんは腰をさすってあげて、水を飲ませてあげるくらいです。

 

 

出産中の写真撮影、動画撮影、ビデオ通話を考えている人もいるかと思いますが、それらの可否について事前に確認しましょう。

 

記念に撮影したい、誕生の瞬間を家族と共有したいという人も多いと思います。

 

しかし病院によっては、動画NGだったり通話NGだったりします。

 

前もって確認しておくようにしましょう。

 

 

陣痛が進んだら、分娩室に移ります。

 

そこでもやれることは先生とナースの言うことを聞き、無事に生まれるように祈るだけです。

 

出生証明書とSSNの申請

 

出産が無事に終わると、分娩室にて、赤ちゃんとの時間を過ごさせてくれます。

 

また、その間に、赤ちゃんの体重や身長を図ったり、いろいろチェックもしてくれます。

 

一通りチェックが終わると、宿泊する部屋に移動です。

 

付き添いの旦那さんが寝るベッドは用意されていないケースがほとんどです。

 

寝心地は悪いですが、ソファで寝るしかありません。

 

 

そこで1泊から2泊し、その間に赤ちゃんとお母さんの身体を診察してもらい、OKが出れば退院です。

 

日本では退院まで一週間ほどかかりますが、アメリカは一日か二日です。

 

 

 

入院中に一番大切な手続きが、出生届の申請です。

 

日本では、出産後数日内に、役所まで出生届を提出しに行きます。

 

しかし、アメリカでは病院で用紙をもらい、そこで記入をして提出するだけで完了です。

 

あとは担当者が全て対応してくれます。

 

 

出生届には、赤ちゃんの名前を記載する必要があります。

前編で注意点としてあげたとおり、出産までに赤ちゃんの名前を決めておきましょう。

 

 

また出生届の申請用紙に、SSN(ソーシャルセキュリティナンバー)の発行についての質問があります。

 

その質問事項において、SSNの発行を依頼するように記載し、発行先の住所を自宅に設定しておけば、出産後1か月ほどで自宅にSSNのカードが届きます。(2020年10月時点でのノースカロライナ州での実績です。)

 

自分たちで特別な手続きをする必要はありません。

与えられた用紙を読み、入院中に記入しましょう。

 

 

男の子の場合、Circumcisionを受けるかどうか選択します。

 

赤ちゃんが男の子場合、注意点があります。

入院中にCircumcisionを受けるかどうか聞かれるので、受けるか否かを決めなくてはなりません。

 

Circumcisionとは割礼、陰核切除などと訳されますが、要は包茎手術です。

 

もともとは宗教的な儀式であり、アメリカでは出生後数日以内にCircumcisionを受ける男の子が多いです。

 

 

Circumcisionを受けることで、陰部を簡単に洗え、清潔に保つことができるというメリットがあります。

 

 

デメリットは、麻酔はするものの痛い思いをさせてしまうという点と、術後しばらくはワセリンとガーゼを使ってケアしなければならないという点です。

 

また、将来日本に帰るとなった場合に、Circumcisionを受けていると、周りの子供たちと異なることがコンプレックスになってしまう可能性もあります。

 

 

アメリカにおいても、以前に比べて近年は、Circumcisionを受ける割合は減ってきています。

現在アメリカにおいて出生時に施術する男の子は約60%と言われています。

 

アメリカで生活するうえで受けなければいけないということは一切ありません。

 

メリット・デメリットを考慮し、夫婦で相談して決めましょう。

 

決めきれない場合は、入院中に決める必要はありません。

 

ただし出生後1か月以内に受けた方が痛みも少なく良いと言われています。

 

 

出産後の病院の予約について。

 

入院中に小児科の病院を、赤ちゃんの検診の予約をします。

 

産婦人科の病院決めと同じで、出来る限り大きくて、自宅から近い場所をおすすめします。

 

入院中に診察してくれる先生に、おすすめの小児科医を聞くと、だれだれが良いと先生の名前を教えてくれたりするので、参考までに聞いてみてください。

 

 

また、お母さんの検診も約一か月後に行うので、その日程も入院中に決めましょう。

 

ちなみにお母さんは一か月後検診でOKが出るまでは湯舟につかることは禁止です。

 

子宮口が完全に閉じたことを先生に確認してもらってから、はじめて湯舟につかることができます。

 

 

 

陣痛から退院時までについて、いろいろと書きましたが、基本的にすべて、先生やナースが何かしらのアクションをしてくれるので、患者側は言われたことに対して、しっかり回答をすることができればOKです。

 

注意点は、何を言われたかわからないときは、何となくイエスと言ってはいけません。

 

必ず内容を理解できるまで質問し、適切な回答をしましょう。

 

退院後に必要な手続きについて。

 

退院後、やらなければならないことは、日本側の出生届を提出することです。

 

病院で提出したのはアメリカ側の出生届です。

この出生届をもってアメリカ国籍を取得できたことになります。

 

一方で、この時点ではまだ日本国籍を取得できていません。

日本国籍を取得するために、日本側の出生届も提出する必要があります。

 

 

海外在住者の場合、出生後3か月以内に日本側の出生届を提出する必要があります。

 

アメリカの在住の場合は、近くの領事館で提出するか、日本の市役所で提出するか選ぶことができます。

それぞれの申請方法について紹介します。

 

パスポートの入手も必要ですが、それは後日説明します。

 

 

領事館で出生届を提出する場合。

 

各領事館のWebサイトに、出生届の提出方法について記載があるので、必ず読むようにしましょう。

 

 

今から記載するのは、アトランタ領事館のケースです。

他領事館でも必要書類に大きな違いはないと思いますが、念のため各領事館のWebサイトを確認しましょう

 

また、領事館が自宅から遠い場合は、必要書類を領事館に郵送して出生届の提出を対応する人も多いと思いますが、現在はCOVID-19の影響でイレギュラーなことがたくさんあります。

 

出生届の提出は日本国籍取得に関わることなので、間違いがあってはなりません。

 

必ず領事館に電話して、直接相談するようにしましょう。

 

 

 

それではアトランタ領事館の場合の、出生届提出方法についてまとめます。

 

 

必要書類は以下です。

・出生届 2枚(届出書は領事館窓口で入手するか、郵送で送ってもらうように電話で依頼しましょう。)

・州が発行する出生証明書 原本1部と写しを1部(もし発行に時間がかかるようであれば、病院で発行してもらう出生証明書でも、赤ちゃんの氏名、性別、出生年月日、出生地(国、州、郡、市町村)が記載されていれば代用可能です。)

・上記出生証明書の和訳文(自分で和訳してもOKです。誰が和訳したかだけしっかり明記しましょう。)

・出生した子の父および母の、日本国籍を証明する書類の写し(パスポートでOK)と、米国での滞在資格を証明するものの写し(ビザやグリーンカードなど)。

 

必要書類は以上です。

 

 

出産前に準備すべきこととして、前編でも記載しましたが、出生届出書は事前に入手可能なので、必ず出産前に入手しておくようにしましょう。

 

州が発行する出生証明書の入手方法については、後ほど記載します。

 

 

日本の役所で出生届を提出する場合

 

日本の役所で出生届を提出することも可能です。

 

手間暇を考えると、領事館に提出する方が圧倒的に簡単ですし、時間もかかりません。

しかし場合によっては、領事館に提出できない理由があるかもしれません。

 

その場合は、日本の役所で出生届を提出することを検討しましょう。

 

 

一般的に必要な書類は以下です。

・出生届(それぞれの役所で認められるフォームを使用する必要があります。)

・州が発行する出生証明書

・出生証明書の和訳文(誰が和訳しても構いませんが、和訳者の氏名を明記する必要があります。)

・委任状(代理人申請の場合、必要なケースもあります。役所に要確認。)

 

日本の役所で提出する場合は、自分たちが帰国して役所に赴き手続きするか、あるいは両親など代理人にお願いして対応してもらう必要があります。

 

代理人に依頼する場合、必要書類を日本に郵送する必要があるので、とても時間がかかります。

 

また、出生届を記入にはとても注意が必要です。

「日本国籍を留保する」と直筆で記入する必要があったり、住所欄の書き方も注意が必要です。

 

もし記入ミスや漏れがあった場合、再度郵送しなおさなければならないということになり、大幅に時間をロスしてしまいます。

 

出産後3か月以内に出生届を提出しなければならず、ミスは許されません。

 

 

そのため、代理人に郵送して対応する場合は、失敗のないよう以下のステップを踏むようにしてください。

 

 

1. 代理人が役所に行き、予備も含めて十分な枚数の出生届を入手する。

2. 出生届入手時に、役所担当者に相談して、記入方法をレクチャしてもらい、その場でサンプルの記入例を作成する(その時点で生年月日等はわからないので空白にしておきます。)

3. 記入例のサンプルと、白紙の出生届をアメリカまで郵送してもらう。

4. 赤ちゃんが生まれたら、サンプルに従って出生届を記入。

5. 州が発行する出生証明書を入手出来次第、必要書類をまとめて日本へ郵送する。

 

 

この5つのステップを踏めば、やり直し作業が発生することはまずありません。

出生証明書を入手できるのにどれだけ時間がかかるか次第ですが、うまくいけば出産後1か月ほどで出生届の提出は完了できます。

 

領事館で提出できるのがベストですが、もし何かしらの理由で領事館に提出できない場合は、上記の方法で日本の役所に提出しましょう。

 

 

州発行の出生証明書の入手方法について。

 

州が発行する出生証明書の入手方法について説明します。

 

実際には郡(County)ごとに発行されます。

 

それぞれの郡のWebサイトを確認し、出生証明書の申請方法について確認しましょう。

 

 

どの郡においても、出生届を病院で提出してから7日~10日は待つ必要があります。

 

出生届が受理されるのに少し時間がかかるからです。

 

まずは10日間待ち、それから手続きを開始しましょう。

 

 

現在は多くの郡で、オンライン手続きが可能になっています。

 

出生から10日後以降に、オンラインで出生証明書の発行依頼を申請しましょう。

 

申請後、1週間ほどで自宅に証明書が届きます。(2020年10月時点ノースカロライナ州での実績)

 

 

出生後20日ほどで出生証明書が入手できます。

 

そこから領事館なり、役所なりに必要書類を提出して、出生届の提出が完了です。

ざっくり1か月で、手続きが完了です。

 

これで晴れて、日本国籍を取得できたことになります。

 

手続きを完了させるのに、3か月というリミットがあります。

 

必ず3か月以内に完了できるよう、細心の注意を払って対応しましょう。

 

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まとめ

 

今回は、出産時の対応および出産後の手続きについて説明しました。

 

出産後の手続きについては、アメリカ側の出生届について説明と、SSNの申請、そして日本側の出生届の提出方法について説明しました。

 

実際には、その他にもパスポートの申請など、やるべき手続きはまだ他にもあります。

しかし、アメリカおよび日本への出生届と、SSNの申請さえ終わらせれれば、とりあえず一息はつけます。

 

パスポートについては、SSNが届いた時点で申請可能です。

手続きについて、また後日紹介したいと思います。

 

準備すべき点、注意点、手続きしなければならない点、いろいろとありますが、事前に情報を収集し、やるべきことを整理しておけば、何の心配もする必要はありません。

 

最後に、ノースカロライナ州の人にのみ有益な情報です。

ノースカロライナ州にある非営利団体NPOのサザンブリッジインターナショナルが主催するプレゴクラブという集まりがあります。

 

妊娠している方、幼いお子さんがいる方を対象に、定期的に集まって座談会をしているそうです。

SBI主催 プレゴクラブ

 

この集まりに参加すれば、よりローカルでかつ最新の情報を得られますので、興味があればぜひ参加してみてください。

 

 

【アメリカでの出産について 前編】出産前に準備すべきこと・注意点について。

【新生児の予防接種】アメリカと日本の予防接種の違いについて。

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